自己破産後にマンションやアパートを借りる際の注意点
自己破産をすると、いわゆるブラックリスト状態が大体10年くらい続くと言われています。その間は、新たにクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることが難しくなるのですが、アパートやマンションを借りる場合にも何か影響があるのでしょうか。
ここでは自己破産をした後に、新たに賃貸アパートやマンションを借りる際の注意点について解説します。
このコラムの目次
1.自己破産後に新たにアパートやマンションを借りられる?
自己破産をする方から、「今のところは家賃が高いので引っ越したいんですけど、自己破産をしたらアパートやマンションを借りるのが難しくなるのですか?」といったご質問をいただくことがあります。
結論から申し上げますと、自己破産をしても新規にアパートやマンションの賃貸借契約を結ぶことは可能です。
入居審査の際に不動産会社や大家さんが自己破産したことを調査するのではないかと心配される方もいますが、クレジットカードやローンの審査とは異なり、不動産会社や大家さんが信用情報を調査することはほとんどありません。
もちろん、定職についていないとか、収入が低いといった別の理由で審査に通らないという可能性はありますが、自己破産をしたからという理由で審査に引っかかる可能性はかなり低いでしょう。
ただし、以下で説明するように、家賃の支払い方法としてクレジットカード決済を指定されている場合や、家賃保証会社の利用が必須となっている場合は、そのアパートやマンションを借りることが難しくなる可能性があります。
2.家賃のクレジットカード払い
家賃をクレジットカードで支払えるアパートやマンションが増えてきていますが、自己破産をした場合は、家賃のクレジットカード払いには注意が必要です。
自己破産をすると、新たにクレジットカードを作成することが難しくなるだけでなく、それまで利用していたクレジットカードも基本的に退会扱いとなり、使えなくなってしまいます。そのため、家賃の支払いをクレジットカード払いにすることは難しくなります。
口座引き落としなど、クレジットカード払い以外の決済方法を選択できるのであれば、そちらの方法を選べば問題ありませんが、クレジットカード決済を指定されている場合は、その部屋を借りることは難しくなるでしょう。
3.家賃保証会社の利用について
自己破産後に新しくアパートやマンションを借りる場合にもう1つ気を付けなければならないのは、家賃保証会社の利用についてです。
(1) 家賃保証会社とは
一般的に、アパートやマンションを借りる場合には、大家さんから保証人をつけるよう要求されることほとんどです。その場合、親や親族、友人などに保証人になってくれるようお願いすることが多いと思います。
ですが、最近では、「保証人になってくれるような知り合いがいない」、「保証人になってほしいと頼みにくい」というように、保証人を見つけるのが難しくなってきています。
そのため、保証人をつける代わりに、賃借人の委託により家賃の支払いに関する債務を保証することを業務とする「家賃保証会社」を利用して物件を借りるケースが、かなり増えてきています。
つまり、保証料を支払って、家賃保証会社に保証人になってもらうということです。
(2) 家賃保証会社の審査
家賃保証会社は、要は保証人ですから、賃借人が家賃を滞納した場合には、賃借人に代わって大家さんに家賃を支払うことになります。ですが、代わりに支払って終わり、というわけではなく、支払った分(+利息)を賃借人から回収することになります。
ですから、家賃保証会社としては、家賃を滞納しそうな人や滞納家賃を回収できなさそうな人の保証はしたくないということになります。
そのため、家賃保証会社は賃借人になろうとする人から利用の申し込みがあれば、その人の収入や債務の状況などを調査して、家賃の支払いに関する債務を保証しても大丈夫そうかどうかの審査をします。
しかし、自己破産をした場合、そのことが原因でこの家賃保証会社の審査に通らない場合があります。
(3) 信販系の家賃保証会社に注意
家賃保証会社にはいくつか種類がありますが、注意しなければならないのは、信販系の家賃保証会社です。
たとえば、オリエントコーポレーション、ジャックス、アプラスといった信販会社で、これらの信販会社が家賃保証をする場合には、個人信用情報機関に加入しているため、審査時に信用情報を必ずチェックします。
そのため、自己破産をしてブラックリスト状態になっていると、過去に借金を返せなくたった事実が分かってしまい、審査に通るのが難しくなってしまうのです。
ですから、家賃保証会社としてこうした信販会社が設定されているアパートやマンションの場合には、保証会社の審査に通らなかったために部屋を借りられないケースが出てきます。
4.賃貸借契約の保証人にはなれる?
では、自己破産をした人が自らアパートやマンションを借りるのではなく、子どもや親族が部屋を借りる際の保証人になることはできるのでしょうか。
「自己破産をしていたら保証人にはなれないんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれませんが、基本的には大丈夫です。
ブラックリスト状態ですので借金の保証人にはなれませんが、一般的なアパートやマンションの賃貸借契約では、保証人の信用情報まで調査をしないことがほとんどですので、賃貸借契約の保証人にはなることは基本的に問題ありません。
5.自己破産は弁護士に相談を
今回は、自己破産後に新たに賃貸アパートやマンションを借りる際の注意点につき解説いたしました。
自己破産をしても、新規で借りられる物件はたくさんありますので、「自己破産したせいで家を借りられなかったらどうしよう・・・」と心配する必要はあまりありません。
ただ、家賃のクレジットカード払いができなかったり、家賃保証会社によっては審査に通らなかったりすることもありますので、家賃の支払方法や家賃保証会社については事前にしっかり確認したうえで賃貸借契約の申し込みをするようにしましょう。
今回解説しました自己破産後の賃貸借のように、自己破産がその後の生活に影響を与えることも少なからずありますので、自己破産をすることにご不安を感じている方、自己破産をご検討中の方は、ぜひ一度泉総合法律事務所にご相談ください。債務整理に精通した弁護士が、丁寧に疑問にお答えいたします。
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