債務整理

家族が自己破産した場合、どのような影響がある?

家族が自己破産した場合の他の家族への影響とは?

「自己破産」は、支払不能となった借金のほとんどを免責(ゼロにしてもらうこと)してもらえる手続きです。
債務の支払い義務が免除されるので、非常に強力な債務整理の方法ですが、「破産」に対してマイナスのイメージが強い方もいらっしゃるのではないでしょうか。

特に、家族が自己破産した場合、他の家族はどのような影響を受けるのかが気がかりだという方も多いと思います。

このコラムでは、特に次の3点に焦点を当てて、自己破産の家族への影響について説明します。

  • 家族には他の家族の借金を返済する義務はあるのか
  • 自己破産により家族の財産も処分されるのか
  • 財産を家族名義に変えていいのか

1.家族の借金返済義務

借金問題の相談に来る方の中には、配偶者や子供、親の借金について、家族にも返済する義務があるのか、との不安を抱いている方もいます。

しかし、原則として、そのような不安は無用です。

借金を返済する義務は、お金を貸し借りする約束(金銭消費貸借契約)に基づいて発生します。
借金を返す義務を負うのは、貸主(債権者)との間で契約を結んだ借主(債務者)だけであり、家族は関係ありません。

(※ただし、借主が亡くなり、家族が相続人となった場合は、相続放棄等の手続きを取らないと、借主の債務(借金を返す義務)を相続してしまう恐れがあります)

しかし、上記の例外として、家族又は家族以外の第三者が、契約に基づき、借主に代わり借金を返済する義務を負うことがあります。そのような契約を、保証契約又は連帯保証契約と言います。

この場合、保証人又は連帯保証人は、借金の貸主との間で、「借主が借金を返済できなくなった時には、自分が代わりに返済をします」という非常に重い約束(契約)を交わすことになります。

借主が借金を返済できなくなった時には、上記約束のとおりに、代わって借金を返済する義務を負うことになります。

そして、保証人又は連帯保証人も借金を返済することができないときには、自己破産などの債務整理の手続きをとる必要が生じます。

このように、保証契約及び連帯保証契約の効果の負担は非常に重いため、契約を結ぶ際は、慎重に判断する必要があります。

2.自己破産による家族の財産の処分

自己破産とは、自己の収入や財産では借金残額を返済していくことができない状態になってしまったときに、一定の価値のある財産を処分して返済に充て、それでも返しきれなかった債務については、支払を免れる(免責を受ける)手続です。

その財産が、破産する人の財産か、それとも家族の財産なのか、判断に迷うものも少なくなくありません。

(1) 不動産

自己破産する人が自宅などの不動産を所有している場合、その不動産は、自己破産手続きの中で処分されます。
従って、当該不動産に住んでいる家族も引っ越しをする必要があります。

また、破産者と配偶者で2分の1ずつ不動産の持ち分を有している場合や、二世帯住宅の場合も、破産者名義の持ち分は、上記と同様に処分の対象となります。

しかし、住宅の一部だけを買い取ってくれる人は通常いませんので、破産者名義の持ち分を処分するために、事実上、配偶者や他の世帯名義の持ち分も処分せざるを得なくなったり、破産者名義の持ち分を配偶者等が買い取ったりすることになります。

(2) 預貯金

20万以上の債務者名義の預貯金があった場合には、処分の対象になります。
一方で、配偶者・子供名義の預貯金は、原則として処分の対象にはなりません。

ただし、配偶者名義の預貯金でも、光熱費や住居費などの生活費の支払いに利用していた預金口座がある場合、破産者の生活の実情を調べるために、通帳等の提出を求められることがあります。

(3) 生命保険の解約返戻金

破産者が保険契約者ではない(被保険者、保険受取人)場合、当該保険は破産者の財産とはみなされないので、解約する必要はありません。

また、破産者が保険契約者であるものの保険が掛け捨て型の場合、または解約返戻金の額が20万円未満の場合も、生命保険を解約することは不要なので、そのまま契約を継続できます。

一方、破産者が保険契約者で、かつ、解約返戻金が20万円以上の場合、解約返戻金を返済に充てる必要があるため、原則、解約することになります。

なお、保険契約者と保険料支払者が別人の場合、裁判所や破産管財人によって判断が分かれる可能性があります。

(4) 学資保険

破産者が契約者である学資保険は、生命保険の解約返戻金の場合と同様に、解約返戻金が20万円以上の場合には、解約して、返済に充てる必要があります。

一方、子ども名義で学資保険を組むこともあると思いますが、その場合の支払原資は、親の収入であることがほとんどでしょう。

この場合に、親が破産すると、子ども名義の学資保険も、親の財産が形を変えたものとみなされ、処分の対象になります。

(5) 自動車

自動車をローンで買う際に、自動車の所有者の名義を、ローン返済中は債権者等に残しておき、ローンを完済したときに初めて所有者の名義を移す約束をすることが多いですが、このような状況を「所有権留保」と言います。
お持ちの自動車が所有権留保になっているかどうかは、車検証の所有者欄で確認できます。

この場合、ローンを返済中ならば、所有権はまだローン会社にあるので、債務者が破産する場合には、債権者がその自動車を引き上げてしまいます
したがって、この場合には、自動車の評価額には関係なく、自動車を手元に残すことはできません。

一方、ローンの支払いが終わっているなど、名義が既に債務者にある場合、車の評価額が20万円未満なら、自動車を処分する必要はありません(従って、自動車を手元に残すことができます)。

しかし、評価額が20万円以上の場合には、他の財産と同様、処分して返済に充てる必要があるので、自動車を手元に残すことはできません。

ただし、介護や通院などのために自動車を保有する必要性が高く、かつ、評価額と同額の現金を余分に用意できる場合は(他の財産の状況次第にはなりますが)、自動車を手元に残せる場合もあります。

家族名義の自動車は、原則として、処分の対象にはなりません。
しかし、例えば、購入のための費用を全て破産者が払った等の特別な場合には、処分の対象となることもあります。

3.財産を家族名義に変更することの可否

以上の点を確認していくと、原則として、名義を基準に誰の財産なのかを判断していることがお判りいただけたと思います。

では、破産手続き中に処分の対象となりそうな財産の名義を、申立前に家族の名義に変更して、処分を免れることができるのでしょうか。

結論から言うと、処分を免れることはできませんし、決して行ってはいけません。そのような「財産隠し」は、本来なら債権者への返済に充てる分を、正規の手続きを踏まずに債務者に残すものとして、重く処分されます。

具体的には、そもそもの目的である、返済義務の免除(免責)が受けられなくなる(免責不許可事由)他、刑事処分の対象となることもあります(破産法252条1項、265条1項)。

「裁判所にバレなければ良い」などと考える方もいますが、裁判所に財産を隠し通すのは不可能です。
破産の手続きの中で、最低でも2年以内のお金の動きはチェックされることから、不自然なお金の動きは必ず見つかります。

むしろ、正規の手続きを踏むことで、一定の財産を手元に残すことができる場合があります。
どうしても残したい財産がある場合には、その旨、弁護士までご相談下さい。

4.債務整理・自己破産は弁護士に相談を

保証人等になっていない限り、家族には、他の家族の借金を返済する義務はありません。
また、破産により処分されるのは、原則として破産者名義の財産のみです。家族名義の財産は残すことができます。

だからと言って、自己破産の申立前に破産者の財産を家族名義に変更するのは厳禁です。

自己破産を考えているがどうしても残したい財産がある、自己破産をしたいが家族への影響が心配だという方は、是非お気軽に、泉総合法律事務所までご相談ください。

債務整理の相談は何度でも無料です。経験豊富な弁護士とスタッフが、あなたの借金問題の解決まで親身になってサポートいたします。

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