債務整理

ガチャ・FX・仮想通貨による借金を主婦が自己破産で整理!

ガチャ・FX・仮想通貨による借金を主婦が自己破産で整理!

インターネットやスマートフォンなど、情報通信技術の発達した現代では、主婦の方でも気軽にソシャゲを遊んだり、FX、仮想通貨で投資をしたりすることが出来るようになりました。
しかし、わずかなお金でのちょっとした楽しみのはずが、気が付いたら到底支払いきれないような借金を負ってしまったという主婦の方が急増しています。

ガチャやFX、仮想通貨による借金は、自己破産では無くせないという脅し文句が、インターネット上には溢れていますが、専門家からすれば、全くの素人考えです。

このコラムでは、ガチャ・FX・仮想通貨などにより借金を作ってしまった主婦の方が、自己破産手続を利用するメリットや注意点について説明します。

1.ガチャやFX、仮想通貨による借金があっても自己破産できる

ガチャやFX、仮想通貨による借金があることは、原則として借金が免除されない事情である「免責不許可事由」に当たるため、自己破産が出来ないという噂が流れてしまっています。なお、「免責」とは、自己破産手続で借金が免除されることです。

確かに、ガチャ課金はもちろんのこと、投資と言えそうなFXや仮想通貨取引であっても、高いレバレッジで一攫千金を狙い失敗していれば、免責不許可事由の一つ、「ギャンブルや浪費」として扱われています。

しかし、実際には、「裁量免責」という制度があるため、ガチャやFX、仮想通貨取引による借金を負った人でも、ほとんどの場合、借金を免除してもらっています。

裁判所は、債務者に免責不許可事由があったとしても、

  • 免責不許可事由の悪質さ
  • 反省の有無や程度
  • 手続への協力の様子

など、債務者を取り巻く一切の事情を斟酌して、免責をしているのです。

債務者に関する様々な事情は、破産管財人という役職の人が調査し、裁判所に報告します。

もっとも、あまりに問題がある場合には、裁量免責すらされず、借金が無くならない事例もあります。以下の点を特に心掛けてください。

(1)誠実な態度で手続に協力する

免責不許可事由や借金について債務者が真摯に反省しているかの判断は、裁判所や破産管財人からの質問への回答や、資料提出などの手続への協力が重視されています。

ガチャで二次元の旦那につぎ込んでしまったことや、FXや仮想通貨の短期的な利益に有頂天になっていたことなど、言いづらいことはたくさんあるでしょう。

しかし、正直に、包み隠さず事実を説明しましょう。要求された資料の収集が面倒でも、テキパキと集めましょう。

(2)手続中にガチャやFX、仮想通貨に手を出さない

自己破産手続は、債務者の生活を立て直すために借金を免除する手続です。にもかかわらず、また借金の原因となったガチャなどを繰り返すようでは、免責してもまた借金をしてしまうだろうとして、免責されない恐れが出てきます。

なお、7年以内にまた自己破産を申立てることは免責不許可事由です。

借金の原因が前回と同じならば、免責されない覚悟が必要です。

(3)お金を借りている家族や友人をえこひいきしない

債権者平等の原則」と言って、自己破産手続では、特定の債権者を優遇することは原則として禁止されています。そのため、家族や友人など身近な人から借金をしていても、従来通り返済を続けることは出来ません。

自己破産をする以上は、他の債権者と一緒に裁判所に申告する必要があります。

また、友人などにだけ借金を優先返済することも、「偏頗弁済」と呼ばれ禁止されています。

債権者全員を申告しないことも、偏頗弁済も、免責不許可事由です。友人などからの借金がある場合には、誠意をもって謝りましょう。

(4)財産の状態を下手にいじらない

債権者へ配当されることになる自分の財産を、借金返済のために売却すると、「詐害行為」という免責不許可事由になる可能性があります。

さらに、自分の財産が配当されないように、名義を変更するなどして「財産隠し」をすると、それだけで裁量免責がされなくなる恐れがあります。

特に、財産隠しは、罪に問われる恐れすらある重大な悪質行為です。絶対に止めましょう。

なお、クレジットカードのショッピング枠で購入した品物などを換金することも、クレジットカード会社に損害を与える行為として、免責不許可事由となっています。

2.自己破産手続のメリット

自己破産手続は、債務整理の中でも特に大きなメリットがあります。

主婦の方がガチャやFX、仮想通貨による借金を無くす場合には、以下のようなメリットが重要です。

(1)原則としてすべての借金が全額免除される

極端な話、何億円の借金でも、裁判所が免責を認めれば、借金を返す必要は無くなります

これは、いくつかある債務整理手続の中でも、自己破産手続だけが持つ、絶対的な優位点です。

自己破産手続以外の債務整理手続では、返済しなければならない借金の金額を減らすことは出来ますが、完全に無くなることはありません。

(2)無収入でも利用可能

借金を返済する必要が、原則として全くなくなるのですから当然です。

他の債務整理手続では、返済義務が残りますから収入は不可欠です。

たとえば、同じく裁判所を用いる債務整理手続である個人再生手続では、法律上、収入があることが手続の利用条件となってしまっています。

(3)債権者の意向を無視できる

自己破産手続では、制度上は、債権者が裁判所に意見を言うことなどはできますが、実務上問題となることはほとんどありません。

他の債務整理手続では、債権者の意向を無視できません。

任意整理では、債権者と交渉する必要がありますから、債権者が首を縦に振らなければどうしようもありません。
個人再生手続でも、一般的な手続では、債権者の多数決(数だけでなく、債権額も基準になります)で手続が打ち切られる制度があります。

ガチャ課金を特定のクレジットカードや通信会社のみで決済していた場合や、FXや仮想通貨取引でロスカットが間に合わず、証券会社や仮想通貨の取引所から高額請求をされている場合、個人再生手続が大口債権者の意向で打ち切られる恐れが他の借金よりも高くなりがちです。

ですから、自己破産手続は、ガチャやFX、仮想通貨による借金を整理する場合には、手続そのものを債権者に邪魔されずに済むというメリットが、非常に便利なのです。

さて、確かに、自己破産手続には、リスクやデメリットが多いことも否定はしきれません。もっとも、主婦の方ですと、財産の処分や資格制限など、一般的に大きくなりやすい問題がさほどの障害にならないことが多いといえますので、極端な心配は不要です。

ただし、ガチャやFX、仮想通貨特有の問題もあります。

3.自己破産手続に伴う注意点

(1)財産の処分

自己破産手続が始まると債務者の財産は破産管財人の管理下に置かれます。破産管財人は、債務者の財産を処分・換価し、債権者に配当します。

自己破産の最大のデメリットである財産の処分ですが、主婦が自己破産する場合には問題にならないことがほとんどです。

(2)家財道具が処分されることはない

自己破産すると、皿や洗濯機やテレビ、エアコンが運び出されてしまうというイメージがあるかもしれません。

実際には、そのようなことはあり得ません。「自由財産」と言って、生活に必要な財産は処分されないこととなっているからです。

(3)家族の財産が処分されることはない

家族、特に旦那の財産が処分されることになるのではないかという心配はご無用です。

処分の対象となる財産は、債務者が持っているもののみです。あなた名義の預貯金の口座や生命保険の解約返戻金も、旦那の負担で積み立てている場合は、処分されない可能性もあります。

(4)マイホームについての注意点

マイホームについては、主婦自身が登記名義の持ち分を持ち、または、住宅ローンの契約をしている場合には、処分の恐れが生じます。

上記の場合には、マイホームの処分を回避する制度がある個人再生手続も検討してください。

なお、単に住宅ローンの保証人になっているだけの場合は、特に問題は生じません。

(5)自動車についての注意点

自動車ローンがある場合、車検証の名義や契約内容次第では、専門的・実務的な難問が生じる恐れがあります。必ず弁護士にお伝え下さい。

(6)特定の資格が制限される

自己破産手続が始まってから免責が確定するまでの間は、他人の財産を取り扱う資格が制限されます。

主婦の方でも、保険のパートをされている方では、問題になることがあります。保険外交員の資格が制限対象になっているからです。

弁護士の助言のもと、雇用先と相談して、休職や転属をすれば、制限を回避しつつ、パートを継続できます。

(7)ブラックリスト

債務整理をすると、俗にブラックリストと呼ばれる信用情報機関の名簿に登録され、クレジットカードの発行やスマホの割賦払いでの購入、ローンを組むことなどができなくなります。自己破産も例外ではありません。
もっとも10年で登録は解除されます。

銀行から借金はできずとも、口座の開設はできます。就職などにも影響は出ません。

4.自己破産の他人への影響

(1)官報について

自己破産をするとなると、まず怖いのが、他人に知られてしまうことです。

官報に自己破産をした人の名前と住所は掲載されますが、資格制限関連の企業以外は、内容をチェックする人はいません。官報により、身近な人に自己破産の事実がばれることを恐れる必要はないでしょう。

ただし、場合によっては、強制的に他人に知られてしまったり、迷惑をかけてしまったりすることもあります。

積極的に説明をしたほうがいい場合もありますので、以下の説明を確認の上、弁護士にご相談ください。

(2)旦那への影響

マイホームに関する権利義務関係を主婦が持っていれば、旦那を巻き込む恐れがあります。そうでなくとも、旦那に自己破産をばれないようにするには、旦那の給与明細や源泉徴収票を秘密裏にゲットすることが必要です。

出来れば、事前に正直に自己破産の事実を伝え、さほどデメリットが生じないこと、もしくは、生じるデメリットの回避方法などについて相談し、手助けを願いましょう。

主婦が破産することによる旦那へのデメリットですが、マイホーム関連を除けば、さほど問題にはなりません。

先ほど説明した通り、旦那の財産が処分されることはありません。また、資格制限やブラックリストも自己破産する主婦本人だけが対象となり、旦那は対象とならないのです。

(3)子供への影響

子どもの生活や就職などに直接影響が出ることもありません。

ただし、あなた名義の学資ローンが解約されてしまうリスクがあること、10年間は子供の保証人になれないことにはご注意ください。

(4)親への影響

まだあなたが学生時代の奨学金の返済を終えていない場合、その保証人となっている親に、奨学金残高が一括請求されます。

親に自己破産の事実がばれることはもちろん、大きな迷惑をかけかねませんので、必ず事前に相談してください。

(5)ご近所や友人などへの影響

まず、ご近所にばれることはないでしょう。

破産管財人が自宅を訪問することがあるとネットで読んで不安に思っている方はいるかも知れません。しかし、破産管財人が自宅訪問することは、財産隠しが疑われていない限り、まずありません。

友人については、お金の貸し借りや金目の物の取引があった場合が問題です。借金があれば当然債権者として手続の対象になります。

また、友人が、偏頗弁済や詐害行為の相手方となっていた場合、破産管財人は、否認権という権限に基づいて、友人から財産を取り戻します。自己破産がばれるだけでなく、大きな迷惑をかける恐れがあります。

5.主婦がガチャやFX、ビットコインで自己破産する場合の注意点

(1)旦那に離婚を要求された場合の注意点

ガチャやFX、仮想通貨などは、裁判で離婚が認められる正当な理由となる可能性があります。

裁判にせよ、協議にせよ、離婚となった場合に注意する必要がある金銭問題が、慰謝料です。旦那のお金をガチャにつぎ込んだり、逆ギレDVでケガをさせたりした場合、旦那からの慰謝料請求は、自己破産しても免除されない「非免責債権」となってしまいます。

なお、養育費も非免責債権です。

(2)スマホの解約を回避できない恐れ

スマホの通信料を滞納しているとき、または、本体の割賦払いが残っているとき、自己破産によりその支払いが免除されると、スマホは解約されてしまいます。

上記の支払いを手続前にすると、偏頗弁済になる恐れがあるので、一般的には、親や旦那に支払ってもらい、解約を回避します。

ところが、ガチャ課金を通信会社決済で短期間に一気につぎ込んでいたため、他人に支払ってもらえないことがあります。この場合は、スマホの解約は回避できません。

再契約しようにも、従来利用していた通信会社は、半永久的に不払いの記録を社内で保管しています。

しかも、通信会社向けのブラックリストのようなものがあるため、短くとも5年間は、他の通信会社とも、通常の形での通信契約をすることができない恐れがあります。

そこで、プリペイド携帯を利用する必要があります。プリペイド携帯は、通信料を先払いするものですから、不払いリスクがないということで、利用ができる場合があるのです。

(3)税金が大きな問題となる恐れがある

FXや仮想通貨、特に仮想通貨で問題となりやすいものが、税金です。

税金は、非免責債権です。自己破産手続決定で免責許可決定がされても、免除されません。

FXや仮想通貨は、市場の騰落が激しいことと、レバレッジを大きくかけられることから、税金の計算のもととなる期間に莫大な利益を上げた後、税金を納める期間の前に、利益を吹き飛ばしてなお返しきれない損失が生じることがあります。

この場合、自己破産手続をしても、数百万の税金を納付する義務が残ってしまうことがあります。役所で分納手続をしたうえ、旦那や親の援助を願いましょう。

6.ガチャ等による主婦の借金問題は自己破産での解決の検討を

ネットとスマホは、現代の情報技術社会の必需品です。しかし、そこには、主婦の方でも借金地獄に陥る落とし穴が潜んでいます。信じられない借金に目もくらみ、絶対に返せるわけがないと考えてしまうでしょう。

しかし、そんな時は債務整理の専門家である弁護士にご相談ください。

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