交通事故

交通事故で弁護士に相談|タイミング別のメリットと注意点

交通事故の損害賠償請求では、弁護士に依頼することで「弁護士基準(裁判基準)」と呼ばれる高額の基準に賠償金額の相場が変わるため、保険会社がより多くの保険金を支払う可能性が高くなります。

専門的知識のサポートを受けることで、証拠を要領よく集めることもできます。
保険会社との交渉を任せて、治療や生活再建に集中できるようになることも忘れてはいけません。

ここでは、交通事故で弁護士に相談や依頼をするタイミングごとに、弁護士に相談・依頼するメリットと、メリットを活かしデメリットやリスクを減らすための注意点を説明します。

1.事故直後

事故直後は、一般的には弁護士に相談するベストのタイミングです。
というのも、証拠集めの助言を最も活かすことができるからです。

ただし、怪我の重さや保険会社の主張などの見通しが立たないため、費用倒れのリスクにもっとも注意しなければならない時期でもあります。慎重に検討してから依頼しましょう。

(1) メリット:証拠集めのサポートを受けられる

保険会社からより多くの保険金を引き出すには、信頼できる客観的な証拠を集めることが重要です。

弁護士に依頼すると、裁判で負けることを恐れた保険会社は、これまでの裁判所の判断をまとめて作られている弁護士基準近くまで支払額を引き上げます。これが「弁護士に依頼すると、交通事故の保険金相場が上がる」理由です。

裁判では、証拠から事実を認定し、その事実からすれば損害賠償請求が認められるか、認められるとしたらいくらかを判断します。法律の世界では、証拠こそが決め手となる武器なのです。

法律の専門家である弁護士なら、あなたのケースではどのような証拠が必要になるか、より良い証拠集めのために注意することは何かがわかります。

特に、「むち打ち」は、検査で異常が見つかりにくいなど証拠集めが難しく、事故から時間が経過してから弁護士に依頼しても、メリットが少なくなってしまうおそれがあります。

ただし、事故の内容が激しくひどいものだと、体に受けた衝撃が大きかったことを主張して、損害賠償金を増やせる可能性があるのです。

事故でむち打ちになってしまった方は、少しでも早く弁護士に依頼したほうが良いでしょう。

(2) 注意点:費用倒れ

実は、弁護士に依頼しても損害賠償金がさほど増えないこともあります。
たとえば、証拠が不十分だと、保険会社は裁判になっても勝てるかもしれないと考えて、弁護士の要求に応じなくなってしまいます。

弁護士費用は、たいていの場合、2~30万円程度の固定額があります。これに加えて、増額分または賠償金全額の何割かも支払うことになるでしょう。

そのため、増額幅が小さいと、弁護士費用の方が多くトータルでは赤字となり、費用倒れになってしまう可能性があります。

事実関係がある程度固まっていれば、弁護士はどれだけ損害賠償金を増やせるかの見通しをしぼれます。
しかし、事故直後では、保険会社の態度やケガの重さなどがはっきりしないこともありますから、確実な見通しが立てられないのです。

ですから、事故直後の依頼は、具体的事情が明確な場合を除いて慎重にすべきです。

【弁護士費用特約を活用しましょう】
弁護士費用特約に加入していらっしゃれば、特約を結んでいる保険会社が弁護士費用を負担しますから、費用倒れのおそれはありません。
弁護士費用特約はクレジットカードなどにもついていることがあります。弁護士費用特約を利用できるか、保険会社やカード会社に確認しましょう。
弁護士費用特約に加入していらっしゃらない方でも、事故直後には法律相談だけでも可能です。証拠集めのポイントや今後の見通し、再相談のタイミングなどについてアドバイスを受けるだけでも、損害賠償金を増やせる可能性はぐっと高くなります。

2.治療中

事故直後に弁護士に依頼すべき、と言っても、現実には難しいことも多いでしょう。
では、事故からある程度経過した治療中に依頼する場合はどうでしょう。

まず、入院するほどの重症であれば、少なくとも弁護士に依頼するメリットはかなり大きくなることが多いでしょう。

入通院による精神的苦痛の賠償金「入通院慰謝料」は、弁護士基準では通院日数と入院日数が長くなるほど増えます。
入院や通院が長期化していれば、弁護士に依頼することで入通院慰謝料が増額する可能性が高まります。

もっとも、重症であれば、まずは治療に専念しましょう。

入院していれば様々な検査を短期間に集中的に行いますから、質や量ともに良好な証拠が残る可能性が高いと思われます。怪我が落ち着いてからでも遅くはありません。

3.治療終了後

治療終了後に弁護士に依頼するケースでは、後遺症が残ったときに特に弁護士に依頼するメリットが大きくなります。

治療を続けても、体の回復力に任せても、もうこれ以上の回復は見込めなくなることを「症状固定」と言います。症状固定の時に残っている症状が後遺症です。

後遺症については、治療中の治療費や慰謝料などとは別に、追加で、慰謝料や将来の減収(逸失利益)を損害賠償請求できる可能性がありますが、そのためには「後遺障害等級認定」という手続で、後遺症の症状が「後遺障害の等級」に当たるものだと認定される必要があります。

認定される等級の高さによって金額が変わるため、適切な等級に認定されるように的確な証拠収集もしなければいけません。
そのために、弁護士の能力を借りるべきなのです。

(1) メリット:後遺症の賠償金増額の可能性

適正な等級に認定される可能性を高くするには、弁護士の助言を受け、被害者の方自ら証拠を集めて手続を申請するべきです(被害者自ら申請することを「被害者請求」と言います)。

こうすることで、積極的に有利な証拠を集め、認定される可能性・適切な等級となる可能性を高めることができます。

[参考記事]

被害者請求のメリットと請求を成功させるためのポイント

加害者側の任意保険会社に手続を代わりにしてもらう「事前認定」で、すでに認定を受けた方も、弁護士に依頼して弁護士基準で損害賠償請求をするメリットがあります。後遺障害慰謝料は自賠責と弁護士基準とで大きく金額が異なるからです。

たとえば、むち打ちで後遺障害等級14級に認定された場合、自賠責基準では後遺障害慰謝料は32万円ですが、弁護士基準であれば110万円です。

逸失利益など慰謝料以外の損害賠償金についても、弁護士に依頼するメリットがあります。自賠責保険の支払総額には上限があり、法律上認められるはずの金額がすべて認められるとは限らないからです。

弁護士に依頼すれば、上限にとらわれずに任意保険会社と交渉をすることができます。

(2) 注意点:証拠が重要

弁護士に依頼すれば必ず認定を受けられるわけではもちろんありません。
後遺障害等級認定でも、証拠が不十分であれば弁護士であっても後遺障害等級認定の説得力ある主張をすることはできません。

信頼できる証拠を作るための下準備をしておきましょう。

  • 継続的定期的な専門の病院への通院
  • 定期的な検査
  • 医師に症状を丁寧に説明する
  • 医師との良好な関係を築く など

[参考記事]

交通事故のむち打ちを後遺障害と認定されるために必要なこと

4.示談交渉中

加害者側の任意保険会社との示談交渉は、治療終了後に保険会社から保険金額の提示をされて始まります。

保険会社の担当者は、親身な対応に思えても、結局のところ、会社の利益のためにできる限り保険金を減らすことを意識していますから、交渉で対抗しなければいけません。
そのためには弁護士に交渉を任せるべきです。

(1) メリット:保険会社による賠償金減額の抑制

交通事故の損害賠償金には相場がありますから、加害者側の保険会社がその相場にのっとったそれなりの金額を提示し、被害者の方としても、ネットなどで調べた相場からすれば、十分納得できるという場合には、弁護士に依頼する必要もないでしょう。

しかし、保険会社の担当者は、支払いを減らせる事情を最大限利用して、金額を抑えようとしてくるでしょう。

相手は交通事故の示談交渉のプロです。一般の方ではネットで調べた知識だけでは、ご自分の具体的な事情の下でどのように反論すればよいのかわからなくなってしまいます。

交通事故事件の経験豊富な弁護士ならば、知識も経験も保険会社の担当者以上です。不利な事情があっても、金額が減らされ過ぎないよう交渉することができます。

(2) 注意点:増額率は弁護士に確認

事実関係や証拠によっては、弁護士が保険会社と満足に戦えず、費用倒れになってしまうリスクはあります。

特に示談交渉中ともなれば、ほとんどの事実関係が固まってしまっています。弁護士のサポートを受けて新しい有利な証拠を手に入れられる可能性は低くなっています。

その代わり、事故直後に比べれば、はるかに弁護士に依頼することでどれだけ増額できるかの見通しが立てやすくなっています。必ず、依頼する前に増額できる金額を弁護士に確認しましょう。

5.裁判中

被害者の方自ら、加害者側の保険会社相手に示談交渉をしたもののうまくいかなかったため、裁判所に訴えた。ところが裁判でどうすべきかわからず、さすがにもう弁護士に依頼しなければ…。
そんなケースもあるかもしれません。

保険会社は必ず弁護士を雇ってきますから、被害者の方も弁護士を依頼すべきです。

しかし、裁判中に弁護士に依頼しても、もはや新しい証拠を集められる可能性はほとんど期待できません。

弁護士ならば、その法律知識と経験を活かし、証拠や事実関係を説得力ある主張に組み立てることで、保険会社に対抗することはできるでしょう。
それでも、やはり限度はあります。交渉結果やそれまでの裁判の内容によっては、弁護士ができることが少なくなってしまうおそれも。

ご自身で裁判を始めてからでも、弁護士に依頼するメリットはありますが、できれば、どんなに遅くとも保険会社との交渉中には弁護士にご相談ください。

6.まとめ

交通事故でどのタイミングで弁護士に依頼すべきか、悩む方はとても多いものです。基本的には事故直後すぐに相談だけでもすべきですが、現実には難しいこともあるでしょう。

さまざまなタイミングについて、弁護士に依頼するメリットや注意点を説明してきましたが、結局のところ、証拠集めのためにどの段階でも法律相談だけはすべきであり、損害賠償金額の増額分と弁護士費用、それぞれの見通しを慎重に比べてから依頼することが大切です。

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